松久淳 猫なんて飼うんじゃなかった

<目次>
00「ご案内」
01「猫が来る」
02「猫はタフでなければ生きていけない」
03「猫を飼う奴なんて」
04「猫は気にしない」
05「長生きの秘訣」
06「猫の小説デビュー」
07「吠える猫」
08「猫をかぶっていないときがある」
09「猫の帰還」
10「猫の飼い方」
11「好奇心に猫は落ちる」
12「マーロウ救出作戦」
13「YouTubeデビュー」
14「ミリオンを達成する猫」
15「猫の話をそのうちに」
16「老い始めた猫」
17「ボケていた」
18「もういっかいマーロウ」
19「猫はただの猫」
20「化け猫疑惑」
21「赤ちゃん返り」
22「世界でいちばん好きな猫」
23「猫なんて飼うんじゃなかった」
15「猫の話をそのうちに」
マーロウのYouTube動画。テレビ局からの使用許可依頼は、だいたい嫌な結果になってしまうので、あるテレビ局の(これは後でわかってしまうが)、ある番組から、ひじょうに丁寧なメールがきたのだが、これまでのこともあり、お断りすることにした。
しかし、お断りしなければよかった。
断ったが気になったので、その番組を見てみることにした。いわゆる情報番組の、面白ペット特集。そこまではよくある企画。だが、その後がちょっとだけ違った。
動画に、「この壁、どうやったら登れるのかなあ」などと、ペット目線のモノローグがつけられていたのである。そして、モノローグを可愛らしくつけていたのは、加藤綾子さんだった。カトパン。
先に言ってよ。無条件で許可したよ。「むむっ。なんだこの走ってくる車は。くんくん。こっちへおいで。あれ〜!」とか、うちのマーロウのセリフをカトパンが言ってくれたら嬉しいに決まってるではないか。がっかり。
さて、YouTubeを使って動画のバックアップを終わらせた私は、翌年2009年、マーロウが13歳になったところで、今度は写真のバックアップをすることにした。
簡単に言えば、無料のブログを開設して、そこにどんどん写真をアップしていくことにしたのだ。残念ながらデジカメを持ったのは2003年からなので、
マーロウが7歳からのときのものしかないが、それでも私のパソコンが突然壊れたり、これまで保存してたDVD-Rが使えなくなったりしても、とりあえず安
心だ(その無料ブログの会社が倒産したらどうなるんだとは思うが)。
これもYouTube同様、アクセス数を増やすための策はいっさい講じず、策があってもよくわからないが、ペットサイトに登録するとかリンクを張るとか私の本業で宣伝するとか、そういうことはいっさいやらなかった。
というかできればアクセスしてもらいたくないわけで、検索で私の名前はもちろん、マーロウの名前さえ引っかからないように書かずにおいた。何かのきっか
けで見た人にはちゃんと見やすいような工夫と、説明文は(作家なので)短くしかしわかりやすくは書いている。だが、基本的には公のサーバーを借りた、「私
のマーロウ写真アルバム」だ。
可愛いにゃああああ。
失礼。いま見返してたら、子猫時のものはなくても、それでもあまりの可愛らしさに、ついつい親馬鹿爆発で唸ってしまった。
ふてぶてしい顔で寝てるマーロウ。窓枠で片手片足をだらんと落として寝てるマーロウ。椅子の上で三葉虫のように見える姿で寝るマーロウ。事務用デスクの
冷んやりしたところに顎を乗っけて寝るマーロウ。段ボールに入って、自然と閉まってしまった蓋に頭を挟まれて、そのまま寝てるマーロウ。酔っ払いのおっさ
んのような顔で寝てるマーロウ。目やにをがっつり溜めたまま寝てるマーロウ。
あれ、なぜだろう。文字だけで説明するとあんまり可愛いように思えない。
まあ、元から「ちょーかわいー」という感じの風貌ではないので、のたーっと、ふてぶてしくゴロゴロしてるほうが、マーロウは様になる。
とはいえこれを書きながら、7歳までのまだかろうじて子猫感を漂わせていた、普通のカメラで撮った写真も、探し出してスキャンしたほうがいいのかもしれないと思い始めた。
途方もない時間と労力がいるなあ。しかし、いつかこの(どこに出すあてもなく、誰にも頼まれていないうちに書いている)原稿が、連載や本になったとき、きっと必要になるからあらかじめやっておかねばならないだろう。
と、その前にもしかして、もういまの人は「フィルム」とか「現像」という単語が、「応仁の乱」とか「蓄音機」とかと同等の響きを持ってたりするのだろうか。
ちなみにこのブログのタイトルは、後に私の小説タイトルに流用することになるのだが、『猫の話をそのうちに』という。
きっとその死後のいつか、作家としてマーロウの話を書くときが来るだろう。でも、人間の年齢に換算するともう70代らしいが、それでもまだ元気な彼は、もう少し長生きしてくれると思う。
というわけで、「そのうちに」マーロウのことを書く、そのための「記録」として、ここに見やすく写真を整理しておこうという意図だったのだ。
先ほどのフィルムの写真の「発掘」もそうだが、本当にこういった作業のひとつひとつが、マーロウの「終活」とやらになっているような気がしないでもない。縁起でもない。
いや、マーロウよりも先に私の終活か?
私も老けたが、マーロウも一緒に老けてきた。そしてそれが、次第に彼の様子からもわかるようになってきた。
marlowe age 15

*このページは、個人的にお伝えした方のみがご覧になっています。もし検索などで偶然見つけた方は、読んでいただくのはまったくかまいませんが(ぜひ、読んでください)、他の方に伝えないでいただけると、ひじょうに嬉しいです。
*松久淳の、2018年6月に書き上げた、飼い猫マーロウについてのエッセイです。
*全23話。各ページに写真がありますが(デジカメ以前でまったくないページもあります)、話の内容と関係なく、話数=マーロウの年齢の写真になっています。
*各話の目次、エッセイ、写真、ご説明の順に載っています。あえてノーデザインのベタ打ちにしています。読みづらかったらすいません。
*出版、ウェブ関係、その他の方で本稿にご興味あるかたはご一報ください。