彼女が望むものを与えよ

サタミシュウ/著 角川文庫/刊
定価520円+税 2018年12月22日発売

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「私の奴隷になりなさい」で新たな官能小説を開拓したサタミシュウ、最後の作品。

その人がしてくれることなら、なんでもすごく感じたし、それをしたくてしたくてしょうがなくて――。

「彼女」たちはそれぞれの男たちと絡み合う。毎週火曜日、週に一度の不倫相手との「身勝手で気持ちいい」セックス、妊婦として再会した初めての人との思い出、一度だけ、出会った日に関係を持った年下の男との淫らな行為、調教を通して自分を変えてくれた「ご主人様」――。サタミシュウが描く、究極の愛の形。

 

 

彼女が望むものを与えよ

松久淳/著 光文社/刊
定価1680円(税込) 2007年3月20日発売

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愛には、覚悟がいる。

二人目の子供を欲しがる妻、週に一度の不倫相手、妊婦として再会した初恋の相手、一年前に一度だけ関係を持った年上の女、「調教」を施した若い女――。8人の「彼女」の姿が思わぬところで絡み合う、「甘くない」恋愛小説集。

「男は好きになったり寝た女のことはもっと知りたくなる。
これはふだん女が言う台詞だが、男だって同じだ。
ただしその知るというのは、女のように相手を理解して
より愛するということじゃない。
自分が不安になりそうなその女の向こう側の話や過去の話を、
自分の中で精算していく作業だ」

give your woman what she wants

なぜ彼女は月曜の夜にむだ毛の処理をするようになったのか。
なぜ彼女は男の子しか欲しくないと言い張っていのか。
なぜ彼女は夫以外の男と逢瀬を重ねるようになったのか。
なぜ彼女は26歳のときに自分を変えようと決意したのか。
なぜ彼女はその男のプロポーズに頷いたのか。
なぜ彼女は恋人がいないと嘘をついて若い男に抱かれたのか。
なぜ彼女は焼酎の水割りしか飲まなくなったのか。
なぜ彼女はその夜、必要以上に着飾っていたのか。
なぜ彼女は決して自分の実家に泊まろうとしないのか。
なぜ彼女は6年もつきあった恋人をあっさり捨てたのか。

君は彼女のことを、何も知らない。

第1話 彼女が望むものを与えよ

膝から爪先までをすっと伸ばして、脛に剃刀をあてる妻の姿はとてもエロティックだと思う。

僕は妻と毎日のように一緒に風呂に入る。そんな妻が32歳の誕生日を目前に、二人目の子供が欲しいと切り出してくる。(初出/小説宝石誌 07.3号)

第2話 火曜の朝の恋人

毎週火曜日の朝九時半に、私は東新宿で彼女に会う。

週に一度、同じ時間、同じ場所で私は彼女と関係を持っている。私には妻も子もいて、それは彼女も同じだ。(初出/本が好き!誌 07.3号)

第3話 プレタポルテ

一〇歳年下の若い女のほうがつきあいやすい男もいるのだろうが、僕の場合はどうやらそういうタイプではなかったらしい。

これまで年上の女としか関係を持たなかった僕が、生意気な若い女を相手にした。溜息をつく僕に、偶然知りあった女性は「女の子が変わること」を語る。(初出/アンアン誌 06.12.6号)

第4話 結婚しよう

駅ビルに入っている本屋で久しぶりに出会った彼女の姿を見たとき、僕はいま自分がどこにいて何歳なのかわからなくなるくらい混乱してしまった。

12年前につきあっていた、当時高校生だった彼女に再会する。彼女は妊娠していた。僕は彼女と夫のいきさつを聞きつつ、去年別れた恋人を思い出す。(初出/携帯サイト「最強読書生活」 07.2.10配信)

第5話 彼女のことは何も知らない

彼女がそこにいた。
まず僕はとても不思議な気持ちになって、次の瞬間--正確に言えば「そこにいるのは彼女なんだ」ときちんと把握した瞬間、僕の足は決しておおげさな比喩ではなく、がくがくと震え出していた。

一年前に一度だけ関係し、それ以来会わなくなってしまった5歳年上の彼女。ある夜、僕は偶然に彼女を姿を見かける。(初出/携帯サイト「文庫YomYom」 07.2.1配信)

第6話 私のスリッパはどこなんだ?

その夜いつものように、仕事が終わりましたとメールで報告してきた彼女に、私は一度家に戻ってきちんと身繕いをしてから来なさいと返信した。

私は彼女をきちんと「調教」していた。しかし「卒業」を言い渡したその夜、手痛い裏切りをされる。(書き下ろし)

第7話 「上」の帰宅

娘たちの名前を呼ばなくなって何年くらいになるだろうか。

娘が久しぶりに帰ってきた。その夜、私は愛人に、いままで語ることのなかった秘密を打ち明ける。(書き下ろし)

第8話 ブルーローズ

朝五時半集合はさすがに昨夜、終電間際まで残業をしていた僕にはきつかった。さらに背中に背負った五〇リットルリュックは、納品忘れのファックスロールを何十本も抱えて走ったとき以来の、拷問のように感じる重さだった。

5年ほどつきあってきた彼女の様子が最近おかしい。僕は会社の先輩に誘われて、彼女と沢登りへと向かった。(初出/携帯サイト「文庫YomYom」 07.2.1配信)