松久淳オフィシャルサイト週松(自前)表紙 > トップ > マダムと映画 > 2本特別公開
●トワイライト(2010.11.7掲載) 「♪けんかをやめて〜二人を止めて〜私のために争わないで〜もうこれ以上〜」 ……どうしたんですかいきなり30年も前のヒット曲を歌い出して。 「竹内まりやが作った河合奈保子の曲だけどさ、この歌ほど、男と女の反応が違う曲もなかなかないからね」 ♪違うタイプの人を好きになってしまう〜揺れる乙女心よくあるでしょう〜 「あるか!! の前に勝手に続きを歌うな! この曲、男からすれば『ふざけるな!』なのに、女は『わかるわかる。女ってそういう生き物なの』って言い出すもんなあ。まだ可憐な河合奈保子だったら許すけど、そのへんの女にこんなこと言われたら殴るよ」 でも女の子の永遠の憧れなんですよ。少女マンガでもよく、かっこいい優等生と、ちょっと乱暴な不良男子、どっちにも好かれて揺れてしまって……っていう話があるじゃないですか。 「だから河合奈保子なら許すけどさ、世の98パーセントくらいの女はそんなこと言う資格も……」 うるさい! の前に、どれだけ河合奈保子が好きなんですか! 「まあ今回の『トワイライト』シリーズを見てたら、ずっと頭の中で『けんかをやめて』が流れてたわけだよ」 人間のヒロインがイケメンの吸血鬼の男の子と恋に落ちて、でもいろいろあって今度は狼男のマッチョくんが横恋慕して……という話ですからね。 「もうその設定にあえて文句は言わないけどさ、それにしてもあの血色悪い眉毛男はイケメンなのかね?」 確かに吸血鬼一族の白すぎるメイクはどうかと思いましたが……でもこの映画は熱狂的なファンが多いし主婦でもハマってる人が多いですから、そういうこと言うとすごく反感買いますよ。 「要は韓流ドラマみたいなもん?」 そうかもしれませんね。アクションシーンも見所ですけど、基本の話は「いくつになってもお姫様願望」を刺激しまくりですから。私も途中からキュンキュンしてましたよ。 「あのさ、吸血鬼がヒロインにプロポーズする、それを狼男が見てショックを受ける、ヒロインは吸血鬼に『なんで見せたの!?』ってキレる、失意のまま去っていく狼男を追いかけるヒロイン、引き止めて『キスして』で狼男とキス、戻ってきて悲しそうな吸血鬼に『見てしまったの?』……すごすぎるよこの展開。その前になんなのこの女!?」 そのシーン、「うんうん、そうだよね、選べないよね……」ってヒロインに同情してました。 「たんなる優柔不断なヤリ○ンじゃん!」 そんなこと言うと女心がわかってないと思われてモテませんよ。 「そんな女にモテたって後で揉めるだけだよ! いきなり自分の20年も昔のことを思い出したけどさ、ある女の子に『あなたが好きになった。いまの恋人と別れてくるから、つきあって』って告白されたんだ」 なんか青春の一ページのいいお話じゃないですか。 「それで『いいよ』って頷いた数日後、彼女と会ったら『何年もつきあってきた彼を捨てるなんてできない!』って泣き崩れられて呆然としたよ」 わかるなあ彼女の気持ち。それこそ揺れる乙女心ですよ。 「どこがだよ! ……ここまで話してよくわかったけど、この映画、女性は楽しいだろうけど絶対に旦那や彼氏と見ちゃいかんね。必ず大げんかになるよ」
●ステイフレンズ(2011.10.7掲載) 「VERY奥様のセフレ保有率は何パーセントくらいかな。50%は多いかもしれないけど30%くらいは堅いような気がするけどどうだろう。まあセフレはいるかって訊かれても頷かないだろうけど、不倫率はそのくらいは余裕でしょ。でも不倫相手を平気で“恋人”とか“彼氏”とか呼ぶご時世だし、聞き方次第で数字は変わるだろうね。そんなわけで今回の映画『ステイフレンズ』は、“恋とか愛とか抜きに、セックスはするけど友達でいよう”と約束した男女の姿を追ったコメディです。皆さんのハートには何が残りましたか? ではまた来月」 待て待て待て待て! 残りましたかじゃない! ついにツッコミを待たずに言いたい放題嘘ばっかり並べるコーナーにしようとしてますね!? うちの読者はそんな下品な奥様たちではありません! 「あら、そういうセックス絡みのことを下品とか言うと、またアノ雑誌とかソノ雑誌とかで、VERYはどこまで気取ってんだとか言われちゃうよ」 だったら最初からそっちの話題をしなければいいでしょうが! たまにはちゃんと映画コーナーっぽいことを語ってみましょうよ。 「仲のいい男女が、恋愛も束縛もイヤだけどセックスだけはしようっていう話は、ついこのあいだもナタリー・ポートマンの『抱きたいカンケイ』という映画があったばかり。しかもこの『ステイフレンズ』のヒロインは『ブラックスワン』でナタリー・ポートマンのライバル役だったミラ・クニス。二人の“その後”の対決も見所かも!?」 よくいる女性誌の映画ライターか! 「たとえばどの雑誌?」 言えるか! 「でもあらすじを聞くだけで、展開も結末も読めるでしょ。ネタバレとか言う必要もなく、セフレ契約→でもやっぱり恋愛感情が芽生える→喧嘩別れ→ハッピーエンドだろうなってわかる。でもこれ、意外に正しいんだよね」 どこが正しいですか? 私には「ドライなセックスフレンドっていう関係が築ける私たちって、なんかちょっとかっこよくない〜?」っていうお子ちゃまな二人に見えてしまいましたけど。 「しゃらくさい若者への気持ちは同感だよ。でもこれはおっさんはみんな思ってることだけど、年を取って昔の女性たちを思い出すと、セックスの相性が良かった人しか思い出さないし、そういう人とはもうやらなくてもまた会って話したいと思うものだよ」 エロオヤジ特有の考えだと思いますが……。 「いや、別にテクニックの話とかじゃないよ。若いうちは気づかないんだけど、結局、情が深いセックスをした人=体だけでなく“心地”が良かった人=ほっとできる好きな人、ということになるんだよ。矛盾するようだけど“エロと安らぎ”は合致するし、合致した人のことは忘れない。だからセフレ契約をして具合が良かった人と恋愛関係に進むと、まあ間違いはないという意味で、この映画は正しいわけだよ」 う〜ん、おっしゃることはわかりますが、モラル的にオススメはできません。 「そういう意味ではVERY奥様も不倫するなら、恋だの寂しい気持ちを埋めてくれるだの女として扱ってくれるだの心のことをいろいろ言う前に、まず体の相性がいい男を物色するところから始めたほうがいいね」 だからオススメしないって言ってるでしょうが! その前にいいかげん下品な話に読者を巻き込むな! |