松久淳オフィシャルサイト週松(自前)表紙 > トップ > ヤング晩年
「ヤング晩年」 松久淳/著 小学館/刊 定価1300円(税別) 2003年7月29日発売 週松を3年間読んでくださった皆さんにとにかく感謝をこめて、ついに登場、週松ベストの単行本です。 最初の企画は「いろんな雑誌に書き散らしたエッセイを集めて」だったのですが、いざセレクションを始めてみたらば、圧倒的に週松掲載分、というか、週松オリジナルの原稿からとあいなりました。 もちろん週松の「う」の字も知らない人にも面白がっていただけるようにしていますが、週松ディープ読者の方なら、掲載された原稿の背後にある事情&エピソードを思い出していただきより楽しめる、という寸法。どんな寸法? という本を、「さわやか80年代風」にパッケージしてみました。(03.7.29)
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●自前宣伝原稿「中途半端なひと」 (「新刊展望」03.8.15) 自分は本当に中途半端な人間だと思う。 かっこいいモテモテ(高知東急的イメージ)にはほど遠く、女子には無縁の一生童貞かといえばそんなこともない。金に糸目をつけず豪遊できる身分でもないどころか持ち家もクルマもないけど、とりあえずの飲み代は気にしないですむ。ヒット曲やテレビドラマで満足するほどぬるくはないけど、マニアかといえば上には上がうじゃうじゃいる。 月に何百枚も書く量産作家にはなれないけど、これまで締切を守れなかったことも一度もない。テレビでうまいことを言う自信はないけど、呼ばれたトークショーくらいだったらとりあえずの笑いは取れる。大胆なヒット企画は考えつかないけど、細かい構成仕事の類はものすごく得意。 30代半ば。子供一人。大病はしてないけど、腰痛と外耳炎と結膜炎にいつも悩んでいる。東京出身、A型。 ……溜息が出るくらい中途半端なスペックの連続。大ネタを繰り出せる人を羨ましく思い、まあ正直なところ妬んだりもしていた。 しかし、4年前に『男の出産』という本を出したころからこの考え方を変えた。もう正々堂々この「中途半端さ」で勝負してやろうと思ったのだ。 で。中途半端夫の妊娠エッセイ『男の出産』、中途半端モテ度の艶笑短編集『愛があるから大丈夫』ときて、いよいよ中途半端な私の中途半端なエッセイの集大成ともいうべき『ヤング晩年』が完成した。 章タイトルごとに簡単に自前解説をさせていただくとこんな感じ。 タイトルどおりなまえがき「もてるとやれるは違う」。 『愛があるから大丈夫』の主人公・今野新一さんと重箱の隅をつつくような発見をしあう「愛があるからだいぶ丈夫」。 偏屈&口うるさい性格が炸裂する「東京人のセッキョー・マ」(ちなみにこれは、ヨーヨー・マのチェロのごとく華麗な説教の意)。 30代半ばにしてなんちゃってED期&セクハラエロオヤジ期へと突入した「ヤング晩年のテーマ」。 『天国の本屋』シリーズとか言ってるけど、実は二人の共通体験は『ガンダム』のみという「松久淳+田中渉の虚弱体質のほう」。 『男の出産』後日談「男の産後ショー」。 川相のバントから少年隊ニッキのオヤジギャグまでありったけの愛をぶつける「そっとあなたが好きだった」。 原体験が吹替版と東京12チャンネルお昼のロードショーだった映画マニアの悲劇(?)「そっと映画を見なさい」。 30代のエロと友を笑いのみで考察する「チームセクハラと国際親友年」。 そしてラストは30〜40代子持ち男子に絶大な支持を受ける(と確信している)息子とムスコ問題を扱った「いつまでも少年の心を失わない人」。 もうこの説明でおわかりのとおり、ものすごく中途半端な本でどうしましょうという感じだけど、実はそんな中途半端な人こそ多いんではないか、ここに書いてあるような「ドラマチックなことはなんにもないけど、ほのかに変&おかしい」話がヒットしてくれるんではないか、ということは『天国の本屋』を超えるベストセラーになるんではないか。 と、小学館の担当がありえない夢を膨らませています。 ここまででおわかりと思いますが、一応タイトルの意味もご説明しておきましょう。 30代にして体はそうとう老人レベル、30代にして思考は完全にオヤジギャグの域、30代にして「セックス」よりも「エロ」を重視するセクハラオヤジ。でも見た目はかろうじてまだ若いから、それを「少年の心を失ってない人」に勘違いしていただけないでしょうか、いただけませんかああそうですか、というこれまた中途半端な人を「ヤング晩年」と呼びます。いま決めました。流行語にしてください。なりませんか。
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<目次> 0●まえがき もてるとやれるは違う。 1●愛があるからだいぶ丈夫 この世でいちばん肝心なのは(素敵でなくても)タイミング。 2●東京人のセッキョー・マ 夫婦で仕事の話ってします? 3 ●ヤング晩年のテーマ 『おかしな二人』で「人生役割分担」を学ぶ。 4●松久淳+田中渉の虚弱体質のほう 『天国の本屋』騒動直前の、のどかな会話。 5●男の産後ショー ニャンニャンブーブーの惨劇。 6●そっとあなたが好きだった ジャック・レモンになりたかったんです。 7●そっと映画を見なさい ショーン・ペンの出番は16秒でした。 8●チームセクハラと国際親友年 「偶然ナンパした子が在日だったらなあ」 9●いつまでも少年の心を失わない人 殺されるよりマシ。 |